先日のグアム旅行でこんな銅像を見つけました。
男性が子どもを逆さまにして抱きかかえ、その後方にチャモロの原住民の戦士らしき男性が2人がいて、その側で子どもの母親と思われる女性が祈りを捧げています。
私はかれこれ9回グアムへ行っていますが、こんな銅像がグアムにあることを知りませんでした。しかもタモンの繁華街の中心地にあるから驚きです。
観光ブックにも載ってない、ネットで調べても何の銅像か分からない、ホテルのスタッフも分からない、そんな銅像にも関わらず心惹かれる何かがありました。
銅像の場所
この銅像は、グアムリーフホテル横、ThePLAZAの間にあります。
グアムで一番の繁華街のすぐ側で、ThePLAZAとDFSとJPストアの交差点から50mも離れていません。また、リーフホテルのインフィニティータワーに宿泊すると真下に銅像を見ることができます。
一体この銅像は何なのか?
ホテルの部屋から見えるこの銅像は一体何なのか?
私たちは家族でサンセットビーチを散歩した帰りに見に行ってみることに。
思ったよりも大きく、それなのに目立たず、整備もされていない公園の中にひっそりと建っていました。
私はこれを見て、生贄にされている子どもの側で、祈りながら泣いている母親と、それを見守る戦士の姿ではないかと思ったのです。
そして、自分にも2人の子どもがいるので、この銅像の母親の表情が私の心をざわつかせ、頭から離れなくなりました。
また、誰にも見られたくないかのようにフェンスで囲われ、その周囲は木々に覆われて薄暗い雰囲気を醸し出しています。
うーん・・・観光地化したくないほど隠したい銅像なのかしら?私は疑問を残したままこの銅像をあとにしました。
とりあえずホテルに聞いたりネットで調べてみた
子どもたちが寝静まったあと、どうしても銅像のことが忘れられず、ホテルのスタッフに質問してみたのですが・・・そこにいたスタッフ全員分からないとの回答が(笑)
え?ホテルの隣にありますよ?みんな知らないの?
もうビックリです。
たまたまグアム生まれの現地スタッフが休みだったみたいだけど。ますます謎は深まるばかり。
とりあえずホテルスタッフへの質問は諦めて、自分でネット検索して調べることに。
該当場所をGoogleMAPで調べると『Blessed Diego Saint Pedro Shrine』『寺院・礼拝所』と書かれていたので、『Blessed Diego Saint Pedro Shrine』を検索してみました。それなのに出てくるのは全部英語のページばかりでした。
グアム政府観光局に教えて頂きました
帰国後2週間、写真を整理する中でやっぱり気になってしまうので、グアム政府観光局に質問メールを送ることにしました。
以下、グアム政府観光局からの回答です。
パドレ・ディエゴ・ルイス・デ・サンビトレス牧師は、1668年にグアムに来ました。 スペインの人々は、チャモロ人にキリスト教を布教しておりましたが、 ある日、タモン村の酋長マタパンの娘の母に洗礼をして欲しいという願いを 受けてパドレ・ディエゴ・ルイス・デ・サンビトレス牧師は、 まだ幼い娘に洗礼をしました。 しかし、酋長マタパンの許可なく幼い娘に洗礼をした事で、パドレ・ディエゴ・ルイス・デ・サンビトレス牧師は酋長マタパンに殺害されてしまいました。 パドレ・ディエゴ・ルイス・デ・サンビトレス牧師が殺されたとされている場所に洗礼の場面を再現した銅像が建てられているそうです。
なるほど。サンヴィトレス牧師はグアムのいろんな場所に教会を作った人だったはず。ものすごく納得です。
そして、この銅像はグアムの歴史が凝縮されたものだったのです。
サンビトレス牧師(サン・ヴィトレス神父)が、タモン村の酋長の娘に洗礼をしている姿は、グアムのキリスト布教の歴史そのものです。
また、タモン村の酋長マタパンが洗礼を止めようと襲いかかっている姿も、キリスト教に対してチャモロ人がどれほど抵抗していたか理解できると思います。
たった一つの銅像で、グアムの歴史の一部とその時代に生きた様々な人の想いを読み取ることができる・・・そんな銅像はここだけでしょう。
ちなみに、ホテルロードの名前もサンビトレス牧師が由来になっています。
現在のホテルロードの名称「Pale San Vitores Rd」は、パドレ・ディエゴ・ルイス・デ・サンビトレス牧師の名からつけられた道路名です。
ホテル街の道路の名前になっているような人物の像がショッピングのついでに簡単に見れる立地にあるのに、整備されていないのは勿体無いなと思いました。(大きなお世話!?)
以上、リーフホテル横にある銅像についてグアム政府観光局さんのお陰で知ることができました。
もしお時間があればショッピングやビーチのついでに立ち寄って見てはいかがでしょうか。
現地の歴史を垣間見る・・そんな時間も旅の醍醐味です。